犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

移転までの時間が限られる中でも,新たな支払義務を負うことなく賃貸人と示談できた事案

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向井 飛翔 弁護士が解決
所属事務所熊本共同法律事務所
所在地熊本県 熊本市中央区

この事例の依頼主

男性

相談前の状況

ご相談者様は,建物を賃借して事業を行っている方です。ご相談の内容は,賃貸人からいきなり契約解除を通告されたというものでした。ですが,ご相談の際にお持ちいただいた通知文を確認したところ,契約解除が裁判で認められる可能性は高くないと思われました。そこで,ご相談者様にその旨お伝えした上で,賃貸人との交渉についてご依頼いただき,対応に当たることとなりました。

解決への流れ

当初は,裁判も辞さない覚悟で徹底的に争う方向で検討していましたが,ご相談者様より,よりよい条件の移転先が見つかったのですぐにでもそこに移転したいとの申出がありました。そこで,それまでの方針を変更し,移転先への移転までにできるだけ有利な条件で退去することを目指すことにしました。もっとも,移転先への移転までの時間が限られていたことから,裁判で明渡しが認められない可能性を指摘しながら立退料などの有利な条件を賃貸人から獲得するというのが相対的に難しい状況となり,賃貸人から,明渡しだけでなく70万円近くの原状回復費用も請求されました。ですが,裁判には時間もお金もかかることや,早期に明渡しが実現すれば賃料を増額して新たな賃借人に賃借するなどして収益性を上げられることなどを指摘しながら粘り強く交渉にあたり,最終的に,預入敷金で原状回復費用を精算し新たな支払は不要という形で示談することができました。

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向井 飛翔 弁護士からのコメント

本件は,法律的には,ご相談者様が明渡しに応じる義務まではなく,裁判で徹底的に争えば建物を明け渡す必要がなかった可能性も十分考えられました。ですが,実際にそこで事業を行っているご相談者様の立場からすれば,一度明渡しを求められた建物で今後も事業を行っていくというのは経営上のリスクでしかありませんし,たまたまよりよい条件の移転先が見つかったという事情もありました。そのため,早く移転先に移転することを優先したいというのがご相談者様のご意向であり,私としても,このようなご意向は最大限尊重するべきであると考えました。本件は,法律的な帰結と実際に建物を居住・使用するご相談者様のご意向の両方に配慮しつつ,ご相談者様のご意向を最大限実現することができた事案といえます。