この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
相談者の男性は,元交際相手の女性に複数回暴力をふるったとして裁判所から保護命令決定が出た後、元交際相手から損害賠償請求を受けたとして相談に来られました。保護命令申立事件において、終始一貫して暴行を否定していましたが、認められませんでした。
解決への流れ
暴行の結果、PTSDを発症したという相手の損害賠償額は、休業損害や慰謝料など併せて400万円でした。しかし、相談者によれば、元交際相手の自傷行為を避けるためにやむなく実力行使をしたとのことであり、相談者がしたとされる発言・行動も、両者間のLINE記録などを精査するとそもそも存在しないと思われ、相手方の主張と矛盾する事実も複数確認できました。そこで、矛盾する事実について、丁寧に拾って書面で反論を行いました。ある程度裁判所の審理が進んだ段階で、裁判官から和解についての意見を求められ、相手方代理人との調整の結果、保護命令と同様の付きまとい行為の禁止といった複数の禁止行為をつけることを条件に、当初の請求金額の8分の1の50万円を支払うとの内容で和解をすることができました。
本件は、相手方の主張と相談者の主張が真向から対立する事案でした。相手方の主張する暴行事実やすでに保護命令が出ているといった事情があることから、色眼鏡で見てしまう可能性がある事案でしたが、交際期間中の両者の間のLINE記録等を見ると、相手方が主張するような一方的に相談者が非のある事案ではないことが分かります。証拠をもとに、事実を組立て主張するという弁護士の本分を発揮できたとともに、また,両者が納得のいく和解の調整をできた事案でした。