この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
被相続人のお兄さんの相談です。被相続人が金融機関に対し、約1億円の負債を有していることを、金融機関からの「ご照会」と題する書面が届きました。被相続人には、子供がいるため、相談者は、相続人ではないはずでしたが、子供たちは、被相続人の死後、相続放棄の手続きをしており、相談者が相続人となっていました。子供たちは、相続放棄をしたことを、伯父である相談者に報告していませんでした。相談者は、被相続人が負債を抱えていたこと、また、自分が相続人であることに初めて気づきました。そこで、相続放棄の手続きをしてほしいとのことでご相談に来られました。
解決への流れ
相続放棄申述期間は、民法上3か月とされていますが、起算点は、自身が相続人であることを知った時からとされています。本件では、相続人となったのは、子供たちが相続放棄をした時になるのですが、相談者はそれを知らなかったので、相続放棄申述期間の起算点は、金融機関からの照会書が届いた時と解することが可能な事案でした。そのため、相続人であることを知った時期について、裁判所に対し、上申書を付して、相続放棄の申立を行い、無事、相続放棄を認めてもらいました。
弁護士の業務をしていて、案外多いのが、相続放棄についての相談です。被相続人の借金があったことを知らないまま3か月が経過してしまったり、自身が相続人であることを知らないまま期限が経過してしまったりすることがあります。原則として3か月の期間制限はありますが、場合によっては、相続放棄をすることが可能な場合もありますので、予期しない負債の請求があった場合は、弁護士に相談してみてください。