この事例の依頼主
50代
相談前の状況
50代のご夫婦大企業に勤めるご主人と共働きの奥さん、不自由なく生活していましたが、奥さんが知人と設立した会社の代表取締役に就任して状況が一変します。代表取締役になった奥さんは、会社の運転資金調達のために、取り巻きからいわれるまま書類に判を押しまくり、気が付くと、ヤミ金を含め合計1500万円以上の債務の連帯保証人になっていました。ご主人は、詳細を知らされないまま、公証役場で街金融業者からの借り入れの連帯保証人を引き受けていました。ヤミ金の取り立てもあり、ご主人は会社を退職、退職金を債務の返済に充てようとしましたが、完済には足りませんでした。ご主人は、間もなく再就職し、奥さんのパート収入と併せて月約30万円を返済に充てましたが、利息・損害金が増えるばかりで借金は減りませんでした。街金融業者が公正証書でご主人の給料を差押。いくら返しても利息・損害金が増え続けるため、ようやく債務整理を決意したようです。
解決への流れ
奥さんは、債権者の圧力により精神の正常を失っていたため、即時に介入して債権者からの接触を遮断しました。奥さんが代表取締役に就任していた会社は、企業としての実態を完全に喪失していたため、奥さんと共に破産を申し立てて同時廃止、奥さんは免責許可。奥さんが破産・免責決定を受けても夫の連帯保証債務まで消えるわけではありません。本件では、ご主人が公正証書の効力を争うことが難しい事情があり、破産を勧めましたたが、本人は返済の意欲が強く、しばらく様子を見ることになりました。ご主人は返済にこだわりましたが、給料差押が会社に迷惑を掛けると考え、ようやく破産を決意しました。同時廃止、免責許可。
連帯保証人は、債権者との間で、自分が主債務者(多くの場合は「借主本人」です)と同様に支払いますと約束しているのですから、主債務者が支払えなくなると、債権者は連帯保証人に対して支払うよう求めてきます。主債務者は、迷惑は掛けないといって保証人をお願いしている以上、迷惑を掛けまいとして、何とか自分が支払いを終えようと頑張ります。しかし、払えないものは払えませんから、債務はみるみるうちに膨らみます。早めにいってくれれば何とかなったのに、借金が膨れあがり身動きが取れなくなってから報告を受けたのでは対応できない、というケースはたくさんあります。連帯保証人に、より大きな迷惑を掛けてしまわないためにも、早めの負債整理が大切です。連帯保証人は、いざとなれば、主債務者に代わって支払うことになります。多くの場合は突然想定外の支払いが発生するのですから、一括では払えません。債権者と分割払いの交渉をせざるを得ません。分割での支払いが困難なら、保証人自身も債務整理を検討せざるを得ませんが、保証債務の整理には通常の債務整理とは異なる特別な解決方法もあります。弁護士とよく相談するようお勧めします。なお、今回の民法改正によって規定も変わるので注意が必要です。主債務者自身は、自分の債務整理の見通しが付いて以後、保証人さんに迷惑を掛けたお詫びをする余地が残っていますから、保証人に迷惑を掛けそうになったときには、それを最小限に抑える方法は何かを考えるべきです。