この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
お父様が亡くなり、全財産をご長男に相続させるという内容の公正証書遺言が見つかりました。しかし、ご相談者様は、ご長男が生前にお父様から事業の開業資金として多額の援助を受けており、そのおかげで現在の資産を築いていることやお父様の介護を献身的に行ってきたのはご相談者様であったことなどから、ご長男が遺産のすべてを受け取るのは不公平だと感じ、最低限の権利である遺留分だけでも請求できないかと考えるようになり、当事務所にご相談に来られました。
解決への流れ
相続財産一覧表の不動産評価額が立地に照らして低いように感じたため、複数の不動産業者から査定書を取得し、対象不動産の実体に即した価格を把握するように努めました。また、ご相談者様が想定されていたお父様の預貯金額と相続財産一覧表の金額にも乖離があったことから、預貯金について直近10年分の取引履歴の開示を求め、生前、お父様からご長男に贈与された金額を詳細に調査しました。調査により得られた客観的資料を基に法的主張を構成し、ご長男と交渉を進めた結果、ご相談者様において、当初想定していた遺留分よりも高額な金額を受け取ることができました。
遺留分の計算では、財産目録の評価額が適正かを見極めることが重要です。生前贈与の調査と合わせ、財産評価を正しく行うことで、受け取れる金額が大きく変わるケースは少なくありません。少しでも疑問を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。